自分らしい生活の回復と維持

自分が思い描く生活を取り戻すためには、先ずは口腔の健康回復を図ることです。

全身疾患のきっかけとなる慢性炎症の6割は口腔から由来します。
慢性炎症は症状に乏しいので気が付きづらいのですが、
サイレントインフラメーションとして病気を引き起こします。
老化そのものでも慢性炎症が生じ、炎症が亢進すればフレイルや死に至ります。

たとえば歯周病は、認知症、糖尿病、動脈硬化、早産などに影響します。
口の中の慢性炎症由来の物質でも、他臓器ががん化し、あるいはがんの増殖が促されます。

口の状態は、運動能力や身体機能と相関しています。
美しい口元はコミュニティーでの会話が弾みストレスが軽減されます。

ところで一度失った健康はお金で買い戻すこともできなければ、他の人に代わってもらうこともできません。
かけがえのないご自身の価値に気付いてください。
だからこそ健康づくりに励み、早期発見早期治療に努め、リハビリを行うのです。
単に症状を抑える薬に頼るのではなく、根本に潜む原因かもしれない口腔内の問題点を探り、これを正すのです。

当院ではそうした歯科医療を提供しています。

診療の重点項目
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歯周病

歯周病は若年から発症する人もいて、学校歯科検診の結果をみると、すでに中学生の4%で歯肉の状態に問題があります。さらに国の調査からは、歯周組織の破壊を伴う歯周炎に罹患している人が、20歳では4人に1人、30歳では3人に1人、40-50代では2人に1人と、歳を重ねるごとに増加していることが分かります。

歯周病は自覚症状に乏しいので、体力に自信のある若い時に発症しても、見過ごされることが多いのです。ところが、進行した重症例では、手のひらほどの大きさの潰瘍面が、歯周ポケット内に形成された慢性炎症になっているのです。
しかもこの慢性の歯周病が、がんや糖尿病、認知症など様々な全身疾患に悪影響を与えることも分かっています。

歯周病のきっかけは、歯の周りのバイオフィルムと呼ばれるすみかで、平和に暮らしている共生菌を、悪玉歯周病菌が押し退けて定着することです。

この菌置き換わり現象の原因は、実は歯磨き不足だけではないのです。共生菌は、歯の周りの溝から滲み出る栄養素で養われるのですが、この栄養素の質が変化することで住みづらくなることも一因です。
つまり、食事の乱れや運動不足、睡眠不足、ストレス過多、ホルモンの乱れ、免疫の影響などで、この共生菌を養う栄養素にも変化が起こるのです。そこに糖尿病やタバコなどの影響も加わるのです。

歯周病原菌に対しては、
免疫応答として、歯周組織内で免疫細胞が持続的に攻撃します。複雑な免疫機構の過程で、様々な情報伝達物質が放出されます。その伝達物質を受けた破骨細胞が、歯を支える骨を次々と壊し、また、放出物質で歯肉の繊維が断裂されて歯周炎が進行するのです。

このように、これまでの研究で明らかになっていることは、
歯周病進行の要因の8割は、宿主の免疫応答です。歯周病原菌が占めるのは、わずか2割でしかありません。
それ故、歯周病原菌ばかりにとらわれるのではなく、
免疫応答の方にもっと焦点を当て、対応を図るべきです。

したがって、当院での歯周病治療のゴールは、歯磨きや専門的な歯のクリーニング、あるいは歯周外科手術、再生療法に留まらず、口腔免疫の調整を軸に、栄養素を改善し、生活習慣を見直し、ストレスのコントロール、ウイルスの除去なども行なって慢性炎症を取り除き、
再び共生菌が定着する歯周環境を取り戻すことにあると考えています。

なお、炎症の起こりやすさには個人差があります。歯周病菌に寛容を示す体質がある一方で、過剰に抵抗を示す体質もあるのです。この全く異なる免疫応答には、遺伝も深く関わります。当院では、遺伝子検査によりこの体質を確認して、個別治療の精度を上げています。

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口腔がん

口唇や歯肉、舌、頬粘膜などに生じるがんは、直接見て確認することができる部位であるため、しっかりと観察すれば早期に見つけることができます。

ところで、そもそも細胞の「がん化」は、組織の慢性炎症の状態を長年経て、次第に変化していく事象であるため、前癌以前の段階でしっかり認識して、可能なら異型細胞を消し去り、最低でもそれ以上、細胞核に変化が進まないように努めるべきです。

細胞核に含まれる遺伝子は、DNAの二重螺旋構造が解けることで発現します。あるいはヒストンと呼ばれるDNAの糸巻きからほつれるのです。つまり、この余分なDNAの解けやほつれを再びに再びタイトに、あるいは巻き戻すことが大切です。不安定な遺伝子の発現を再び安定化させるのです。

概日リズムの乱れも時計遺伝子の異常につながり、がんの元となります。

すなわち、食事や栄養素、運動、睡眠、ストレス、各種ホルモンなどを見直し、改善するのが第一の基本です。

当然、異常な細胞を攻撃するリンパ球を増やし鍛え、さらには、ヘルパーT細胞のバランスを整えることも大切です。もしかしたら食品への隠れたアレルギーがあるかもしれません。口腔金属アレルギーはありませんか?薬で単にアレルギー症状を抑え込んでいるだけではありませんか?

免疫細胞はホルモンや自律神経とも強く関わりがあります。
ストレスもウイルスも、自律神経を大きく乱し免疫を低下させます。

がんの予防や治療は、抗加齢医学の知識を応用した総力戦です。

慢性炎症の源を排除しましょう!

免疫細胞が放出する情報伝達物質も、がん細胞の増殖や転移のシグナルになります。
血液検査のCRPは、炎症の有無や程度を調べる検査として有用ですが、感度が低いので慢性炎症の指標には不向きです。もっと高感度なもので評価するべきです。

もし口腔がんが見つかれば、手術、化学療法および放射線治療の標準治療のため近隣の病院歯科口腔外科をご紹介します。

標準治療を終えた後に、米国では必ず補完医療を提供する医療機関を、がん患者に紹介しなければならない法律があるようですが、日本にはその決まりがありません。それどころか66万人ものガン難民がいるにもかかわらず、補完医療はエセ医療、自然療法は民間医療と揶揄される始末です。

標準治療で、これ以上の治療は無理と、見放されたがん患者が次に行くのは緩和ケアだけではありません!

当院では上述に加え、循環腫瘍細胞(CTC)検査や免疫細胞検査によって、抗がん自然物質の特定やSupportive Oligonucleotide Therapy (SOT)および高濃度ビタミンC点滴などの個別に補完医療を提供しています。

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アマルガム

歯の充填物であるアマルガムには水銀が含まれています。

金属水銀は飲み込んでもほとんど無毒で便中に排泄される一方で、腸内細菌により有機水銀となり消化管からわずかながら吸収されます。

また水銀は20度で気化するため、熱い汁物でも飲めばアマルガムは常に活発な水銀の供給源となります。この有機水銀の毒性については、水俣病を経験した我が国で今更細かく申し上げません。

しかし、水銀への金属アレルギーを持つ人が多く、アレルゲンとしても全身に悪影響を及ぼす可能性があるということは認識しておくべきです。さらに有害重金属は女性ホルモン様の作用を示すことから、他の環境ホルモンとともに乳がんや前立腺癌の原因にもなり得ると言うことです。

アマルガムの除去に際しては、術者、患者の双方が水銀に曝露しない処置法が必要です。

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金属アレルギー

歯科治療により口腔内には様々な歯科用合金が用いられます。例えばむし歯治療でのインレー、クラウン、部分入れ歯の留め金、矯正器具などで利用されています。

合金とは、ある特定の性質を持たせるために、種々の金属元素を混ぜ合わせた金属のことです。歯科用合金の中には金属アレルギーの代表格であるニッケルやパラジウムが含まれるものも有ります。

歯科用金属に金属アレルギーが有っても、口腔粘膜では皮膚で見られるような、かぶれやただれの症状が起きることは稀なので見過ごされ易いです。
その代わりにほんのわずかに溶け出た金属を飲み込むことで腸管から吸収され、不調や疲労感をはじめとする全身の症状となって現れます。

微量で有っても莫大な症状が起きるのがアレルギーです。口の中のほんの小さな金属の詰め物を取り除いたところ、皮膚科で重篤なアトピー様皮膚炎と診断されていた人が改善した症例も経験しています。

つまり、歯に詰まった歯科用金属は、全身の慢性炎症の源となり得るのです。

金属アレルギーの検査ではパッチテストが有名です。しかし、アレルゲンを皮膚に直接貼付するこの検査法は、万が一アレルギーがあった場合には、かえってアレルギーが助長され、症状の悪化につながります。さらに重要なことは、上述の通り、皮膚の反応と口腔粘膜の反応が異なることです。だから口腔の金属アレルギーの検査にはパッチテストは適さないのです。

金属アレルギーを避けるためには、使用する材料を金属に代えてジルコニアやピーク材にします。
インプラント市場の主流はチタンですが、ジルコニアインプラントを積極的に導入しています。

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NICO

NICOは顎骨内の空洞で、炎症を伴う脂肪塊が内容物です。ボーンキャビティーとも表現されています。

ところで歯科大学の講義ではNICOについて習うことはありません。なぜなら従来の診断機器では存在の確認が難しく、またNICOによる痛みが生じることも稀で自覚症状に欠けるため、疾病として認識されていないからです。

しかし、NICOは慢性炎症の源であることが明らかです。近年の研究では、NICO中の脂肪塊からランテスと呼ばれる炎症性ケモカインが全身へ大量に放出されることが明らかになってます。

ランテスはアレルギー、各種のがん、関節リウマチや神経変性疾患などの分野での研究が盛んです。たとえば乳がんでは、乳がん細胞自身が出すランテスにより、周囲へのがん細胞の増殖と転移が促進されます。これをエンドクラインといいます。一方、パラクラインというのがあって、血流などで運ばれた物質が遠隔の細胞に影響を及ぼすことを指します。

歯科で乳がんの治療を行うことはありませんが、NICOを除去し顎骨由来のランテスを無くすことで、全身疾患の発症予防が期待されています。またNICOの除去で原因不明の不調が改善された症例も多数報告されています。

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咬合病

見た目に美しい歯並びであっても、顎関節との調和においては乱れたかみ合わせとなってしまっている人が見受けられます。

調和の取れたかみ合わせになっていないと、顎関節の雑音や痛み、偏頭痛や肩こりなど顎顔面頸部の筋肉痛、歯の揺れや異常な擦り減りが生じます。場合によって歯が割れてしまうことさえあります。これを咬合病と言います。

歯を失う原因は、むし歯と歯周病だけではなく、咬合病に由来することも多いのです。早期接触と呼ばれるかみ合わせの不調で筋肉と歯が喧嘩をすると、必ず歯の方が負けてしまうからです。1つ歯を失っても顎関節とかみ合わせとの調和が自然回復するわけではないので、さらにその次の歯が狙われます。つまり人生の時間軸の中で加速度的に歯を失い続けるのですから、早めに介入し、顎関節とかみ合わせの調和を得ることは大切と考えます。

ところで、意識することもないほんのわずかなかみ合わせのズレであっても「ストレス」をもたらします。

ストレスは、生命を維持するためにはとても大切な生体反応です。ストレスではアドレナリンやコルチゾールの放出を伴います。

しかし、慢性のストレスは、これらのホルモンの影響をはじめ、炎症性サイトカインの過剰放出が生じ身体に慢性炎症が生じます。

「かみ合わす」とは食事の都度、唾を飲む都度に行う行為なので、かみ合わせのずれによるストレスで慢性炎症が生じます。特に代謝酵素に遺伝子多型がある場合には、その影響は、より大きいなものになります。うつや気分障害、睡眠障害が起きる人さえ見受けられます。特に女性では女性ホルモンの影響でそれが増強されパフォーマンスが低下します。

したがってかみ合わせを整えるだけでなく、他の様々な方法でストレス軽減を図る必要がある症例も認められます。

一宮市本町1丁目4−19
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